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来るべきときが来る、そんな気分である。
なにしろここの物価は高い。
ついでに賃金も高い。
なら企業は逃げ出す。
企業が消えれば産業はなりたたない。
それでもやっていけたのは、大地に眠る地下資源の数々の恩恵による。
中国の台頭で、楽日を謳歌した。
しかし、中国の成長も先が見えてきた。
内閣府は「中所得国の罠」におちいるだろうと予告している。
中国なきあと、オーストラリアはどうやって生きていくのか?
もはや、ここでは
大量生産品を作るという工業システムの産業は生きていけない
のではないだろうか。
なんて心配をする必要はない。
ここの強みは、なんと言ったって
「人口が少ない」
ことだ。
アホな経済学者は生産人口の少なさを危惧するような論説を多々発表しているが、どれもほとんど無能の論理。
日本は2050年までに1億人を切るという。
大いに結構。
オーストラリアは圧倒的に人口が少なく、何しろ地面の下には資源が眠り、地面には穀物が実る。
地面の上では牛と羊とカンガルーが群れる。
年間、横浜市の人口に匹敵する数のカンガルーが殺される。
多くはキャットフード・ドッグフードに変身する。
それだけ殺しても減らない。
数にして360万頭が殺されてもカンガルーは減らないのである。
何が言いたいかというと、ここはとんでもない国だということです。
常識が時々通用しなくなる。
それが日常化すると、何かやたらとオージー化してしまったのかと不安になってくる。
そこで、産業衰退のシビアな常識的な記事を。
『
ウォールストリートジャーナル 2013年 12月 13日 16:47 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303747904579255452624892352.html?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesFirst
トヨタ、豪撤退を警告―アボット首相は引き止め努力
By ROB TAYLOR
●トヨタ車の運転席に座るアボット豪首相
【キャンベラ(オーストラリア)】
オーストラリアでの自動車生産を維持したい同国政府にとって、メルボルン郊外のアルトナにあるトヨタ自動車の工場は、いわば最後の決戦場になっている。
米ゼネラル・モーターズ(GM)が最近表明した通り2017年に豪州の2工場を閉鎖すれば、
トヨタは豪州で自動車を生産する唯一のメーカーになる。
トヨタはこれまで豪ドル高から受ける打撃に対処してきた。
例えば雇用を削減し、アルトナ工場での生産維持のための政府支援を受け取ってきた。
しかしトヨタは12日、アボット豪首相に対し、トヨタもGMと同様に豪州から撤退する日が迫っているかもしれないと警告した。
トヨタは
「当社のサプライヤー(供給業者)、主要なステークホルダー(利害関係者)、それに政府とともに相談して、われわれの次のステップを決定し、豪州唯一の自動車メーカーとして操業を続けられるか否か判断したい」
と述べた。
トヨタは豪州で生産する車の70%を輸出している。
トヨタは、GMの決定が連鎖反応を引き起こす可能性があると指摘し、サプライヤーが市場の半分を失って破産するかもしれないと述べた。
そして、この結果、自動車部品の価格や労働コストが上がる恐れがあり、豪州で乗用車の「カムリ」と「オーリオン」の生産を継続すれば利益が圧縮されるかもしれないと述べた。
GMは10日、17年までに豪州での生産を中止すると発表した。
これは高コストになった進出先の国から外国自動車メーカーが撤退する動きが加速化していることを浮き彫りにしている。
GMの工場閉鎖によって2900人強が失業し、南オーストラリアとビクトリアの2州の工業地帯が最も大きな影響を受けるとみられる。
両州では何十年にもわたって工場の雇用が減っている。
自動車産業はかつて、豪州の戦後の製造業隆盛の象徴として称賛された。
その崩壊が差し迫っているかもしれない事態を受け、アボット首相は引き止め攻勢に出ている。
アボット首相は「われわれはトヨタの生産継続を望んでいる」と述べた。
同首相はトヨタ豪州法人の安田政秀社長に電話をかけたことを明らかにしたが、話し合いの内容は公表しなかった。アボット政権は、GMの工場閉鎖を回避するために断固たる行動を取らず、GMのホールデン部門存続のための公的支援を増額しなかったとして、議会で批判にさらされている。
●2008年と13年の豪州自動車市場の各社マーケットシェア(VFACTS調べ)
アボット首相は、トヨタとGMの立場は若干異なると指摘。
これは、トヨタの豪州生産が主に輸出目的で、大半の車が中東に出荷されているためだと述べた。
トヨタの豪州法人はコスト削減を進め、前年度(今年3月終了)の損益は2億2090万豪ドル(約207億円)の黒字に達した。
それでも同社は豪州で大きな困難に直面している。
消費者の好みがカムリのような比較的大型の乗用車から、輸入されたスポーツ用多目的車(SUV)にシフトしているためだ。
豪州で最も売れているトヨタ車は「カローラ」だが、これは同国内で生産されていない。
アボット首相は、政府が数日中にホールデンの従業員とトヨタ向けの支援策を発表すると述べた。
GMが17年に撤退するまでに、研究開発の強化、教育、それに「ニッチ事業」に対しても支援を提供するという。
アボット首相は
「われわれはこういった人々を落胆させない。
現在課せられている任務は、わが国の基礎力を生かすことだ」
と述べた。
豪州の失業率は既に08年の金融危機以降見られなかった水準にまで上昇している。
かつてブームを巻き起こした資源セクターでは今年、何千人もの労働者が職を失った。
関係企業がコモディティー価格の下落への対応を迫られたためだ。
一方、同国を代表する航空会社のカンタス航空は最近、損失を減らすため1000人の従業員を削減すると発表した。
経済成長は急速に鈍化している。
消費者信頼感の低下、企業投資の軟化、それに豪ドル高から打撃を受けたかたちだ。
13年第3四半期の経済成長率は前年同期比2.3%だったが、昨年初めには4%にも達していた。
アボット首相は、安全保障をめぐるインドネシアとの関係悪化のほか、海外投資の阻止をめぐる論争からも打撃を受けている。
豪州での自動車生産が終われば、これらの対外問題とは比べものにならないほど大きな打撃を被る公算が大きい。
労働組合や業界のロビイストらは、自動車業界が死ねば、経済に210億豪ドルの穴が開き、最大で4万5000の職が奪われると警告する。
ビクトリアと南オーストラリアの2州の失業率は既に全国平均を上回っているが、両州は同国の製造技能を伸ばす主要拠点でもあるため、その影響は防衛などといったその他の産業にも及ぶ可能性がある。
豪州産業連盟は、同国が医療、生物医学工学、それに農業といった分野で競争的優位に立っているが、資源開発の専門知識を輸出するなど、自国の強みをもっと生かす必要があるとも指摘している。
』
この国はもはや大量生産品を作るような工業システムは生き残れない。
【 うすっぺらな遺伝子 】
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